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湘南ベルマーレ前代表取締役社長

大倉 智

Points of View

Vol.1

Shonan Bellmare
Satoshi Okura

「ベルマーレには無限の可能性がある」これは、
並木さんから言われた、今も強烈に私の心に残っている言葉です。

大倉 智

湘南ベルマーレ
取締役社長

「ベルマーレには無限の可能性がある」これは、
並木さんから言われた、今も強烈に私の心に残っている言葉です。

Episode 1

出会い

「ベルマーレには無限の可能性がある」これは、並木さんから言われた、今も強烈に私の心に残っている言葉です。
並木さんと初めてお会いしたのは2013年の冬のことでした。
当時、私の肩書きは(湘南ベルマーレの)GMで、ベルマーレというクラブが大きく成長していくためにはどんなことが必要なのかをずっと考えていた時期。ヒントになりそうな情報や人に対してアンテナを張り巡らせていると、ある知人から「並木さんという面白い人がいますよ」という話があって、すぐに「会いたい」と返事をしたのがすべての始まりです。

「史上最年少でマッキンゼーの役員になった経営コンサルタント」だと聞いていたので、会う前は「いったいどんな人なんだろう」と構えてしまう部分があったのは確かです。でも実際に会ってみると、“コンサルっぽい感じ”が全然なくて、爽やかな好青年というのが第一印象でした。言葉を交わしているうちに、会う前に抱いていた敷居の高さはどこかに消え、むしろ心地いい時間に変わっていったことを覚えています。この人とならこれからも面白い話ができそうだな、いろいろと教えてもらうことができるのではないかと感じるようになり、頻繁に顔を合わせるようになりました。

実は当時の私は、GMの立場からクラブがどうあるべきかを考えると同時に、個人的なキャリアのことでも思い悩んでいました。クラブから、社長にならないかというオファーをいただいていたんです。ただ、代表権のない取締役社長としてのオファーだったことや、社長というポジションに就くことが自分の思い描いている将来のキャリアにとってベストな選択なのかどうかということが引っかかり、決断できずにいました。

そんな時、はっきりと「尻込みしてる場合じゃない。絶対に社長になるべきだ」と背中を押してくれたのが、まだ出会って間もない並木さんでした。社長の名刺があれば、JリーグクラブのGMでは会えないような人にも会うことができるようになる。並木さんはそんなことも仰っていましたが、その後、オファーを受ける決意を固め、社長として日々を過ごすようになってからその言葉の意味を実感することになりました。

まず、社長になってから一緒に取り組みをはじめたのがクラブのミッションづくりです。「湘南スタイル」というチームにおける軸はあったのですが、湘南ベルマーレという運営組織全体はどうあるべきなのか?私たちが最も大切にすべきものとは何なのか?そういったクラブの基本理念を象徴する言葉を見つけ出すことは、クラブの経営上、極めて重要なことだと私は考えています。

並木さんは『ミッションからはじめよう!』のご著書があるように、ミッションを持つことの重要性に対する理解が深く、また的確な言葉で表現する力も持っていらっしゃると思います。私が頭の中にある漠然とした思いを口にすると、並木さんがそれを巧みに整理して的を射た表現で打ち返してくれる。ぼんやりとしていた思いの輪郭が、徐々にはっきりとした形に姿を変えていく体験はとても刺激的でした。

「ベルマーレは、他のチームからビッグネームを獲得するというオーソドックスな経営スタイルではなく、若手の可能性を最大限に引き延ばしている」私たちが当たり前に実施していることが、深くその意味合いを考えていくと実は大事なミッションになる。そんなことをメンバーと一緒に感じ、今までの自分たちの考え方、活動に自信が持てたのを覚えています。ベルマーレは決してお金があるクラブではありません。

その状況下でどのように経営していくのか?サポーターからどう支持されていくべきか?「大倉さんがぶれたらダメですよ。ベルマーレのポリシーに自信を持っていいんです。貫きましょう」そう言っていつも後押ししてくれました。その成果は、「SPIRIT BOOK」と銘打った会社案内の冊子にまとめることになりましたが、まさにクラブの理念を象徴するバイブルを作ることができたと自負しています。

Photo by Tsukuru Asada

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Episode 2

社長として戦った2014シーズン

ベルマーレの社長として臨むことになった2014年のシーズンは、激動の一年でした。策定したミッションに沿ってどのようにそれを具現化していくのか。社長業は、スポンサー獲得、選手獲得、さらには将来を見越してのスタジアムの計画などやることは山積みです。
コンサルってある程度の方向性を決めたら実行はサポートしてくれないのでは?と思っていたのですが、ここからも並木さんは一緒に走ってくれました。「大倉さんはしっかり夢を持っています。その夢をどう実現していくのか、リアリティを持って動かすサポートも私の仕事ですよ」そう言ってくれたのです。

例えばメディアへの露出もその一つ。並木さんはベルマーレに対して、「サッカーも、クラブで働いている人たちも純粋だ。そんな組織はめったにあるものじゃない」と高く評価する一方、積極的に情報を発信していくことの重要性を指摘してくださいました。そして自ら各媒体に働きかけ、それまで縁のなかったサッカー専門誌以外のメディアでも多くの取材の機会をつくっていただきました。
クラブの事業面に関しても、並木さんを通じた人との出会いによって、2014年は大きな意味のある年になったと言えます。

平塚のスタジアム近くに開業予定の商業施設「ららぽーと」とのコラボレーションは三井不動産とベルマーレが担当者レベルで協議を続けてきたテーマでしたが、並木さんの人脈に連なる三井不動産の要職の方に話を通していただいたことで、計画はより大規模なものとなり、協議が一気に進展しました。
エイベックスとの提携についても同じことが言えます。ファンクラブ運営やチケット販売、グッズ販売など、クラブのビジネスのBtoCの部分を効率化するにはどうしたらいいかという勉強会での議論を経て、やはり並木さんの紹介でエイベックスとの協業へ向けて歩み出すことになったのです。

三井不動産もエイベックスも、今や、今後のベルマーレの発展に欠くことのできないビジネスパートナーとなりました。並木さんなくしては、両社とここまでの関係を築くことができなかったのは間違いありません。結果的に、私個人にとってはこれまでにはなかった出会いや経験が数多くありました。振り返れば、そのきっかけの多くは並木さんに与えていただいたものだったように思います。

そして何よりも、ベルマーレの理念にも共感をいただき、クラブをバックアップする姿勢を目に見える形で表してくださったのです。「ベルマーレにスポンサードします」ベルマーレが優勝するとは思ってもいなかった2014年のシーズンスタート前に、決断してくれたのです。
結果的に史上最速でJ2優勝を決めることができ、安心していますが、並木さんの男気を感じた瞬間でした。

Photo by Tsukuru Asada

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Episode 3

これからもFM並木裕太と共に

2015年は、昨年の出会いから生まれた「芽」を着実に成長させていくフェーズに入りますが、並木さんをはじめフィールドマネージメントのお力が私たちにとって不可欠であることには変わりありません。今年からは、並木さんとベルマーレは、より強力なタッグを組んでクラブの成長を推し進めていきたいと考えています。
2014年末にフィールドマネージメントの創立5周年を記念したパーティにお招きいただいたことがあります。せっかくの機会だからと、チームマスコットの「キングベルⅠ世」を連れて行ってサプライズで登場したんです。

そこで初めてお会いするスタッフの方もたくさんいましたが、皆さんとても気さくで素晴らしい雰囲気だったのが印象的でした。並木裕太という人間を慕って、大きな志を持って集っていることがひしひしと感じられました。それぞれに個性的でありながらも、並木さんを中心に自然と輪ができているのです。
私がこれほど深い関係を築いてこられたのも、並木さんの人間性、特にいつも自然体で接していただけるという部分があってこそだと思います。並木さんが海外で生まれ育ったということを後で知って、合点がいきました。

私も子どもの頃、一時期をアメリカで過ごしたのですが、ふたりとも「外国人」的な考え方が根っこにあって、それが10歳も年が離れているのに言いたいことを言い合える、自然に接することができる理由なのかもしれません。お互い、あいまいなことは嫌いで、何でもはっきりと伝えられるのはとても心地いいですね。
フィールドマネージメントの掲げる「STEP ZERO」という理念は、決して掛け声倒れなんかではなく、見事なまでに忠実に体現されていると思います。少し大げさかもしれませんが、従来のコンサルの枠にはまらない存在だと言えるのかもしれません。

そうでなければ、出会いからわずか1年余りの間に、これほどまでに多くの言葉を交わし、信頼し合える関係など結べるはずがありませんから。