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株式会社楽天野球団前代表取締役社長 前オーナー
島田 亨
楽天

フィールドマネージメント代表取締役の並木さんと出会ったのは2005年の初夏でしたでしょうか。当時、彼は大手外資系コンサルティングファームで活躍する若者でした。球団経営という新たなフィールドで、これまでの球団経営の常識に捉われない、「チームのファン」、「地元自治体」、「スポンサー企業」といった球団にとってのステイクホルダーたちの満足を最大化する経営を目指していた私にとって、彼が提示するアイデアの数々は、私の理想そのものでした。

まずは2006年シーズンからスタートした座席価値に基づくチケットのプライシングの導入です。この取り組みは、彼が経営コンサルティングサービスを提供する航空会社の座席管理手法からインスピレーションを得て実施した取り組みでした。2005年シーズン中に実施した来場者アンケートを基に来場者にとっての座席価値を算出し、一塁側(Away)と3塁側(Home)の座席価値の差を金額価値に換算し解析、さらにマウンドからの距離と比例し座席価値が上下していることを数値化しました。その結果を受けてイーグルスは、球界初のスタジアム左右非対称なチケット価格設定と、マウンドからの距離に応じた座席割の改定に踏み切りました。2005年に仙台で起こったプロ野球バブルが落ち着き観客数の伸びが鈍化する中、来場者の満足度を維持しながら、チケット価格の最適化により、2006年シーズンにはチケット収入の増収を果たしました。

また2008年シーズンにはチケット事業に関する取り組みを更に推し進め、球界初の曜日・対戦相手別のプライシングを導入し飛躍的にチケット収入が向上しました。この取り組みも2007年シーズンから来場者の試合毎の価格感度を計測した上での導入で、チケットの平均単価は値下げし、来場者数を増やし、満足度を向上した上での、増収増益を実現しました。2009年シーズンには、ファン満足度の向上のためファンクラブ事業の改革も実施し、ファンクラブ事業をチケット販売のリード機能とする改革を行うなど、球団内の事業部の垣根を超えた取組みにも着手しました。
また、スポンサー企業や地元企業の球団に対する満足を高める為に、スポンサーシップに対する球団としての考え方、シーズンチケット商品の再検討などの業界初の試みを検討してくれました。並木さんと歩んだ5年間は、楽天イーグルスに関わる様々なステイクホルダーの満足を最大化するために、これまでの球団経営の常識に捉われない施策を実行する歴史だったように思います。その過程は楽天イーグルスの成長の歴史でもあります。経営が安定することで、チームの成績も向上し、ご存知の通り09年シーズンはクライマックスシリーズまで進出しました。
楽天イーグルスはまさに飛躍の時を迎えようとしています。

楽天イーグルスの更なる飛躍に向けて、並木さんには2010年よりイーグルスのマネージメントアドバイザーに就任していただきました。球団黒字化を命題に、包括的に球団経営に参画していただいており、球団内の主要事業の改善に加え、これまでの球団とスポンサーのあり方の常識を覆すような、新たなスポンサー企業とのコラボレーションも、一緒に実現していきたいと思っております。
並木さん率いるフィールドマネジメント社には、これまで以上に、旧来の球団経営の常識に捉われないステイクホルダー満足最大化の為の取組みを、パートナーとして一緒に実現していっていただきたいと思っております。